厚労省より通知された領収証の発行履歴とは?
「柔道整復師の施術に係る療養費について」の一部改正
厚労省より、平成29年9月4日付けで「柔道整復師の施術に係る療養費について」の一部改正が発出されました。(ただし、別添2第4章24については平成30年4月1日から実施)
平成29年度における柔道整復師の施術に係る療養費の改正について
これらの通知を要約すると以下のとおりです。(近畿厚生局HPより)
ここでは新たに追加された、保険者等が領収証の発行履歴の提示等を求めることができる仕組みの導入を取り上げます。
領収証の発行履歴、来院簿の提示・提出の意図とは
この改正による領収証の発行履歴や来院簿の提示・提出は何を意図するのでしょうか?
来院簿(日計表)は個人事業主が確定申告をおこなう際、必要な帳簿となることが多いものです。
どんぶり勘定を行っていたり、定額料金や学生料金と称して一部負担金を下回る金額を徴収するなど、不適切な取扱いをしていても、来院簿(日計表)を見ればその施術所の経営実態が垣間見えてきます。
そのため施術録より確定申告とリンクしている来院簿を見たいという柔整審査会の意図が見えてきます。
実際、窓口金に対しての認識が不足している施術所では、次のような来院簿(日計表)を見かけることがあります。
上記はいわゆる“どんぶり勘定”です。もしこのような来院簿を提出して「療養費の一部負担金はいくらですか?」「保険外はいくらですか? 」と聞かれたら答えられますか?
これでは説明のしようがありません。
以下は厚労省通知の領収証様式と捻挫・打撲・挫傷の一部負担金の早見表(平成28年10月時点)です。
療養費を取扱ううえで、領収証の仕様は細かく決められています。患者名、一部負担金、保険外、合計金額、日付、そして施術所住所、施術者名、さらに施術者の押印が必要となります。
一部負担金の算定は早見表のとおり部位数毎、初検日の冷罨法あり、なし、再検日、後療時の算定方法と細分化されています。一部負担金の算定は、レセコンに入力すると正確に計算され、この計算結果をもとに一部負担金を徴収するのが適切な取扱いです。
領収証の発行履歴とは
さて今回の通知にある「領収証の発行履歴」とは何でしょう?
履歴を残せる領収証で思いつくのが「カーボン複写式の領収証」または同じ領収証を発行して割印を押印して控えにする方法です。レセコンで管理して紙で発行する場合も2枚発行し、割印が必要となります。
これは意外と大変な事務作業です。
領収証の発行履歴に代わるもの
この領収証の発行履歴に代わるものが、来院簿(日計表)です。
ただし、ここには療養費の領収証仕様である一部負担金、保険外を盛り込む必要があります。
これらを考慮した来院簿(日計表)の例です。
今後は領収証の発行履歴の提出を求められた場合に備えて、一部負担金、保険外の区分がつく来院簿(日計表)の仕様を取り入れてみてはいかがでしょうか。