基本に沿った接骨院の外装と内装
接骨院の場所が決まれば、いよいよ外装と内装の準備に取り掛かります。
実際に工事に取り掛かる際の基本のポイントをまとめました。
以下の4つのポイントに沿って「接骨院の外装と内装」について考えていきましょう。
接骨院の構造設備基準は?
構造設備基準
- 6.6立方メートル(2坪)以上の専用の施術室を有すること
- 3.3立方メートル(1坪)以上の待合室を有すること
- 施術室は、室面積の1/7以上に相当する部分を外気に開放し得ること、もしくはこれに代わる換気装置
- 手指消毒設備を設けること(施術室に流し台があればなお良い)
- 治療院は、住居・店舗等と構造上独立していること(出入り口を別に設ける等明確に区画すること)
- 施術室と待合室の区画は、壁で完全に仕切られていること (カーテン不可)
- ベッドを2 台以上設置する場合には、各々をカーテン等で仕切り患者のプライバシーに 配慮すること
- 接骨院とマッサージ院・鍼灸院を併設する場合、それぞれの施術室は壁で仕切らていること
- 消火器等の防火に対する措置が執られていること
※1 一人で施術を行う場合、施術室は兼ねても結構です(できない保健所もあります)。
※2 保健所により指導内容が異なるので必ず確認してください。
内装工事のチェックポイントは?
テナントとして入居する場合を考えてみます。
内装工事のチェックポイント
- 想像するレイアウトは可能かスペースを確認(ベッドの設置や台数 等、受付、待合室、スタッフルームなど)
- 床や壁の強度(ローラーベッド等は重量がある為、防音が施されているか)
- 採光、窓や入口の位置(十分な部屋の明るさが確保できるか)
- 施術所の導線を考慮した水周り、トイレの位置(排水・下水)の確認(施術やプライバシーに配慮できる場所、水回りの設置変更は費用が意外とかかる)
- 換気位置・可否の確認(外気解放が部屋面積の1/7以上の確保ができない場合必要)
- エアコンの規模(室内の広さで業務用か家庭用かの確認)
- 配電盤(ブレーカー)の容量・施設許容量確認(導入する機器から検討する)
- バリアフリー (高齢者の来院を考慮する)
- 消防設備基準の確認 、排煙窓の有無(管轄する消防署の検査があるか貸主に確認)
受付周り
受付周りは施術スペースに比べて設計・構造をシンプルに考えがちですが、業務上は意外と事務処理の占める割合が高くなるので、実務に沿ったスペースの確保が必要です。また保険証やカルテ等、個人情報を取扱うので患者側から見えないよう考慮する必要があります。
コンセント配置
パソコン、プリンター、電話、携帯の充電器等、最近では機器を使用する頻度が高いため、コンセントの位置や設置数を考え決めましょう。また、各種電機器具には必ずケーブルがありますので、その収納も考慮しましょう。
書類や備品の収納スペース
健康保険請求業務は、カルテやレセプト等の作成で大量の書類が発生します。カルテは患者の最終来院から5年間の保存が義務付けられているので保存スペースも必要です。また施術で使用する材料(シップ、テーピング、タオルなど)の収納場所も確保しましょう。
注意!テナントの賃貸契約時これだけは確認!
- 資金的に無理のない物件か(家賃・保証金等・その他の管理費用)
- 退去時の条件(保証金の戻り・現状復帰の有無)
- 看板設置の規制があるか(管理組合の同意・環境規制)
- 前テナント契約者の残設備の撤去費用負担(貸主・借主)
- 特別な管理規約があるか(営業時間・休業日等)
- 消防設備の負担(スプリンクラー・消防設備)
後日、トラブルにならないためにも必ず確認をしてください。
外装工事のチェックポイントは?
接骨院・鍼灸院は、基本、医療に従事する施設として相応しい外装が好ましいです。
しかし現在は接骨院・鍼灸院の開設も増え競争が激化している中で、自院を積極的にアピールしたいというのが本心です。
そこで以下の点を考慮してみましょう。
外装工事のチェックポイント
- 商店街で同業者や他の業種と差別化ができるか
- 町の景観と周囲との調和
- 好感がもてる色やデザインか
- 清潔感があるか
- 看板と一体でアピールできているか
- 昼夜の視認性があるか
- 建材の耐久性、老朽化にするメンテナンス
施工業者の選定ポイントは?
内外装に関するポイントを挙げましたが、これらはほんの一部に過ぎません。やはり専門の施工業者にアドバイスしてもらうことが必要になります。
施工業者を選定するポイント
- 施工業者は接骨院・鍼灸院業務をしっかり理解しているところに依頼する。
- 過去1年の施工実績を見せてもらう。
- 必ず、工事現場で設備内容・医療機器を盛り込んだ図面を元に、現場で確認しながら見積り依頼すること。
- 見積書の明細が分かりやすい。(○○一式ではない)
- 工程表が分かりやすい。(引渡し日が明確)
- 工事終了から一定の補償期間がある。
施工業者にしっかり希望を伝えましょう
施工業者にすべて任せていたら、考えていた内容と異なっていたという話を聞きます。内外装に関する希望がある場合は、細かい点も遠慮せず伝えましょう。
- 電源は、現在の使用量より増えることを想定(将来の設備投資に備える)
- ウォーターベッド等重量のある機器付近の床は重量に耐えられるようにする
- カウンターの高さは95~105cmが平均(高齢者の身長も考慮)
- 確保したい待合室の広さ、施術室の広さ (ゆとりをもった待合室)
- 待合室、施術室の壁の材質、色の指定(防火、抗菌、水拭きOKなど)
- 天井は蛍光灯の明かりが反射するように白を基調にし、患者が眩しくならないようにする。
- 床、玄関はバリアフリー(高齢者や足の不自由な方などを考慮)
- 照明スイッチはON、OFFを交互で設定ができる配置(入口スイッチなど)
- トイレの暖房便座、ウォシュレット
- 待合室、施術室は引き戸での開閉 (ドアの場合開閉部に物を置くことができない)
- 窓、換気扇の空調は多めに(鍼灸施術をおこなう時に空調管理が必要)
- 余力ある空調能力を導入(電気代の節約と寿命の確保)
接骨院・鍼灸院 おすすめのカラー
参考までに施術所内外に取り入れると良い色をご紹介します。ご自身のお好きな色もあると思いますが、周囲との調和やターゲット層へのアピールも考えましょう。
あまり奇抜な色だと周囲から浮いてしまうだけでなく、景観を損ねてしまうこともありますので、周囲の景色や建物との相性も考慮した方がいいかもしれません。明るい色は少し暗めを、暗い色は少し明るめを選びましょう。また面積によっても色の印象は変わってきます。
ブルー
青空のような開放感やリラックスのイメージもあるので好感度が高く一番人気が高い色の系統です。
(例)制服やカーテン、タオル、ベッドなど
ピンク
柔らかく優しい印象。
(例)シーツやタオル、スリッパなど
グリーン
安心感や調和の表す色で心をリラックスさせてくれます。
(例)観葉植物や待合室の小物類など
風水では、丸い葉の植物は気を落ち着かせるものや、「陽」の性質で上に成長する葉の植物は活気な気を発生するものあります。
オレンジ
明るく元気でポジティブな印象。
(例)待合室のソファ、看板など
ホワイト
ホワイトは病院のイメージでもありますが、汚れがすぐわかり、清潔なイメージを受けます。
(例)制服や壁、シーツなど
木目調
木目調の内装を施すことによって心が和むスペースを演出できます。
(例)クッションフロアや受付カウンターなど
まずは「構造設備基準」を確認
接骨院・鍼灸院は保健所への開業届が必要です。レイアウト設計や工事発注で内装業者に相談するときは、事前に管轄の保健所で定められている「構造設備基準」をしっかり確認しましょう。
また一度、ご自身でレイアウトを平面図に描いてみるとイメージしやすいです。イメージしにくい場合はすでに開業している先輩や医療機器業者にアドバイスを求めるといいかもしれません。
なお、工事中は何度も現場に足を運んで進捗を確認するようにしてください。
色々ポイントを挙げてきましたが、施術所のイメージはできたでしょうか?
ぜひ参考にしていただき、理想の施術所を実現してください。