接骨院で混合診療をおこなっていいの?それ「どんぶり勘定」かもしれません
接骨院開業や経営のご相談で、
「保険請求が厳しくなるので、自費施術も取り入れたい」
「接骨院では混合診療はどこまで認められるか?」
といったご質問をいただくことがあります。
混合診療とは?
「混合診療」とは、医療機関(病院・診療所)で健康保険の範囲内の分は健康保険、健康保険の範囲外は患者自身が自費で支払うことで、患者が支払った料金のうち保険と自費が混合することです。
原則として混合診療は禁止されており、患者から保険外の費用を別途受け取った場合は、その疫病に関する一連の診療の費用は初診にさかのぼって「自由診療」として全額自費診療となります。
例えば、患者Aがガン治療のためにB病院で保険外診療を受けていたが、別のC病院で同じガンに対する治療を受けた場合、それが健康保険が適用できるものであっても保険外診療となります。
柔道整復での考え方
柔道整復の保険施術は「診療」ではなく「療養費」ですから、混合診療という考え方自体がありません。
つまり、同じ患者の同じケガに対して保険施術と自費施術を行っても、全額自費にはなりません。
接骨院で保険施術と自費施術を併用するときの注意点
接骨院で保険施術と自費施術を併用する上で、注意しておきたい点があります。
①療養費と自費施術の関係
例えば「腰椎捻挫で保険施術をし、いつもより5分長く施術部位の徒手を行ったので延長料金として自費料金をいただいた」とします。
これは後療法の取り扱いを勘違いしていると思われます。
後療法とは、患部の回復を早めるために様々な刺激を加えながら施術する方法です。代表的なものとして、「徒手療法」「運動療法」「物理療法」等を組み合わせながら適宜に行うものです。
また、療養費の取り扱いの規定では、後療法において施術に用いる「衛生材料費等も含む」となっています。
つまり、ケガの施術ですので時間の長短で料金は決まっていません。時間が長くなったからといって延長料金(自費)を取ることはできません。
②保健所の構造設備基準と民間療法の取り扱い
自費施術で整体や骨盤矯正などの民間療法を行う場合は、接骨院内装工事に着工する前に知っておきたい保健所の構造設備基準の記事でも紹介ている通り、柔道整復の施術室は柔道整復専用の施術スペースですから、民間療法を行うことができません。
こんな料金設定は「どんぶり勘定」です!
接骨院での保険施術と自費施術の併用で問題になるのが「どんぶり勘定」です。ここでいう「どんぶり勘定」は2種類あります。
①保険施術分の一律料金
保険施術分の金額を「いつでも」「誰でも」「どのようなケガでも」「何部位でも」一律にすること。
②保険施術分+自費施術分の一律料金
保険施術分と自費施術分と足した合計金額を「いつでも」「誰でも」「どのようなケガでも」「何部位でも」一律にすること。
「接骨院は混合施術ができるから」と何気なく一律にされているかもしれませんが、これもどんぶり勘定です。
何が良くない?
①は当然不正請求につながります。
②は保険施術分はきちんと請求していれば問題ないように見えます。
しかし、ホームページなどに一律料金を表示していると、保険施術分までどんぶり勘定していると疑われます。
保険者や厚生局は疑いを持った施術所のホームページも確認しています。
疑いを持たれないためにも、保険施術と自費施術の料金を分けて表示させることが大切です。
また、一律料金を払った患者も、領収証や他の患者を見たときに疑問点が浮かびます。
・1回目と2回目と3回目の来院時に全く同じ自費施術を受けたのに、自費部分の金額が違う。
・明らかに自分よりも軽い(重い)ケガに見える人と支払う金額が同じ。
患者はこういう疑問を質問しないことも多く、不信感が募ると当然来院しなくなります。
保険施術部分をきちんとしていても、患者や保険者から疑いの目で見られてしまいます。
まとめ
接骨院の施術において「混合診療」という考え方はありませんので、同じ患者に同じケガを対象とした保険施術と自費施術の併用は可能です。
接骨院を経営するうえで、自費施術は必要です。
患者さんに窓口料金の誤解を与えないためにも、患者さんに保険施術と自費施術の違いをきちんと説明し、保険(一部負担金)と保険外(自費)の料金を分けて明確に伝えることが大切です。
自費の料金メニュー表を作成して掲示、配布するなどして患者さんに周知しましょう。
「どんぶり勘定」「一律料金」などは通用しません。
徴収方法が誤っていた場合、
また、院内やWEBサイトに
- 保険施術で定められた規定の料金ではない一律の料金表
- 保険施術と自費施術の合計金額の料金表
を掲示している場合は今すぐ見直してください。