「整骨院」が使えなくなる?!
厚生労働省が検討委員会を8回開き、作成を進めているあはき・柔整の広告ガイドライン案ですが、柔整・鍼灸側の意見が全く入っておらず、業界を圧迫することが前提の危険な動きになっています。
現段階での案では「整骨院」という名称すら今後の新規開設・名称変更では認めない(つまり「接骨院」のみ可)という、とんでもない事項も含まれています。
柔道整復師法で広告できる事項として「ほねつぎ(又は接骨)」とあり、整骨という単語が入っていないことが根拠でしょうが、慣習的にこれまで使われてきて、世間で一切誤解されるはずのない「整骨院」を認めないのは非常に問題があります。全柔協では、「整骨院」「治療院」「鍼灸整骨院」をなぜ不可にするのかを徹底的に追及するため、ポイントを絞って、組合員と業界を守るために提言していく方向で動いており、検討委員会の参加団体あてに提案書を送付しました。
なおこの広告ガイドラインの実施時期について厚生労働省に確認したところ、4月までにガイドラインができたとしても、都道府県等の態勢が整わない状態では実施できないため、約1年ほどの期間を設けて保健所等に周知していくとのことです。
「あはき・柔整広告ガイドライン」におけるウェブサイト等の取組み実施のための共同連携について
無資格者対策はどこに?
このガイドライン案についてもう1つ気になる点が、国家資格外行為に関する事項です。
健康被害が増えている無資格マッサージなどに対して、規制をかけるために無資格者の施術を「国家資格外行為」と名付けて、ガイドラインを併せて定めているのですが、柔整等とは違い、「関係団体等による自主的な取組を促すものとする」となっていて実質的に努力目標にとどまっており、規制の対象ではないということです。無資格者を取り締まる法律がないのでこういった表現になったのでしょうが、これでは現状と変わらず意味がないことになります。
医業・医業類似行為・無資格施術
この広告ガイドライン案は、実施に向けていよいよ細部の調整に入っていますが、昨年途中に出された資料の中に「非医業類似行為」という謎の単語が突如登場しました(現在は消されています)。ここで改めて、柔道整復・鍼灸マッサージとはどのカテゴリーかということを整理してみましょう。
厚労省が以前から頑なに言ってきたのは、柔整・鍼灸マッサージは「医業類似行為」だということです。そして今回、無資格施術を取り締まるという大義名分で持ち出してきたのが「非医業類似行為」という単語。無資格者をこの言葉で括れば、取り締まりもしやすいと考え、同時に柔整・鍼灸マを完全に「医業類似行為」の枠の中に収めたいという思惑だったのでしょう。
しかし全柔協は、文献「あん摩、はり、きゅう、柔道整復等 営業法の解説」(現代語版)の中で、昭和23年当時、厚生省の担当者がこれらを「医業」であるとし、有資格者がそれ以外の治療でない行為(衛生保持など)をする時、それを「医業類似行為」と呼び、無資格者の施術と区別していることを根拠として、柔整・鍼灸マッサージは医業であるというスタンスを今も貫いています。あくまでも医業の一部として限定解除されている立派な資格です。
厚労省はその意味を運用上の変遷の中ですり替え、前記文献に関しても「当時の担当者が言っただけ」とかわし、さらに今回よくわからない単語を作って正当化しようとしました。幸いにも全柔協を含めた業界側の反対により案から削除されましたが、いまだに根強く、対立した意識があることを伺わせる事例です。