今回のテーマは、接骨院の「内装工事」です。
構造設備基準とは?
今回は春や秋からの開業に向けて、ご質問が特に多く寄せられる「構造設備基準」。
「構造設備基準」とは何ですか?
「構造設備基準」は開設する都道府県、保健所で異なるといわれています。
皆さんも柔道整復師等専門学校等の関係法規の授業でお聞きになったとは思いますが、今回は事例として東京都K区保健所ホームページに掲載されている構造設備基準を参考にご説明いたします。
構造設備基準の2つの基準
構造設備基準には大きく分けて2つの基準があります。
1つ目は太字の部分が法規に基づく「省令」です。
2つ目が赤線で囲った枠内の細字が「指導事項(基準)」なります。
指導事項(基準)は保健所が都道府県の健康福祉部門や厚生労働省へ構造基準等の疑義解釈を問い合わせたものを「指導事項(基準)」とし運用しています。(政令指定都市・中核市は独自の指導事項(基準)を設けられる裁量があります)
現場の保健所や担当者の裁量権に委ねられている指導事項(基準)と言うものが厄介です。
指導事項(基準)の例
以下にいくつかの保健所の「指導事項(基準)」をご紹介します。
こちらはH県政令都市H市保健所の構造設備基準の平面図です。
こちらはK県令指定都市S市の保健所の構造設備基準の指導事項(基準)となります。
こちらの指導事項(基準)の運用は、厳格化した基準と思われます。
待合室と施術室の区分が「固定壁」で上下左右完全に仕切られ、固定した扉で仕切られることと記載されています。また、鍼灸マッサージ業を兼務する場合の構造設備基準での区分に関しても明確化されています。カイロ、整体等民間療法を兼ねることは禁止されています。
次の指導基準は、S県中核市O市の保健所の基準です。
結構、細かい内容となっております。上記の手洗場については、施術室内に設置してくださいと指導を受け、バックヤードの流し場は手洗場として認められないと言う担当者もいました。
この辺が担当者によって解釈が異なり、レイアウト設計を変更せざるを得なくなります。
構造設備基準についての解説
最近では広告制限を大幅に逸脱した施術所が構造設備基準も遵守していないことから、広告制限とあわせて施術所の構造設備基準に対しても厳格化していく保健所が増えてきました。
この様な背景から以前に開業された友人の話や知識が不足している内装業者のアドバイスを鵜呑みして届出後、保健所から改善指導を受けるケースがあります。その対策として、後から固定壁や扉を設けるとなると予想外の出費となります。
構造設備基準の3つの注意点
施術者が2人以上で柔整と鍼灸・マッサージを兼業する場合
1.基本は施術室が2室で各々に構造設備基準を満たすこと。(各々に6.6㎡の施術室、外気解放もしくは換気扇、手指消毒設備)
2.柔整室、鍼灸室の区分はカーテンやパーテーションが不可である保健所が多い。
3.待合室から施術室への入り口は各々設ける。(待合室の面積の解釈も異なる)
4.柔整師とマッサージ師との兼業も柔整法とあはき法が別なので別室対応となる。
将来の施術所の経営計画をしっかり持ちましょう
最近では、柔整、鍼灸のダブル・トリプル免許を取得されている方が多くいらっしゃいます。接骨院開業当初は施術者が一人で、柔整、鍼灸施術をおこなう場合は一室で兼務することが認められています。
しかし経営が順調になり新たに施術者を雇用する場合は、柔整室、鍼灸室を完全に区分しなければなりません。保健所に変更手続きに出向いた際に指摘されることも多いです。そうなると施術所の改装工事をして基準に合わせないとなりません。相応の費用が発生することが考えられますので、将来、人員拡大計画がある場合は、設計段階から柔整・鍼灸の施術室への工夫をしておく必要があります。
保健所で事前に確認をしましょう
施術所への開設届は開設後、10日以内に提出となっております。そのため、ホームページより開設届をダウンロードして必要事項を記入して提出する方もいらっしゃいます。そして、その後の実地検査で改善指導を受けることもあります。事前に保健所に相談していない場合、指導事項(基準)が伝わらず、レイアウト設計を変更せざるを得ない結果になります。
そうならないためにも、レイアウトが決まった段階で事前に保健所に平面図を持参してアドバイスを受けましょう。指導事項(基準)の部分は建物の構造上の事情によっては、こちらの事情も考慮していただけることもあります。
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