接骨院を開業してはじめての確定申告をされる方、これから開業される方に「確定申告と青色申告」について解説します。
ここだけはおさえておきましょう
施術所を開設し、事業をはじめると主に2つの届出が必要です。
- 保健所へ開設届を提出(施術所を開設し施術を行うため)
- 税務署に2つの届出(施術所を開設し事業を行うため)
・開業日から1ヶ月以内に「個人事業の開業届出書」
・開業日から2ヶ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」
※国税庁HPでダウンロード、税務署でも入手可
確定申告の基本
事業開始後、翌年1月に前年度の確定申告の時期がやってきます。確定申告の用語をひとつひとつ確認していきましょう。
確定申告とは
独立開業=個人事業主(法人を設立する方は当てはまりません)になります。個人事業主は事業をはじめた翌年に、納税のため1年間の会計(経費や事業収入)を申告します。これが「確定申告」です。
確定申告の時期
確定申告期間は毎年おおむね2月半ばから3月半ばまでです。
確定申告後に納める税の種類
これまで雇用されていた場合、個人事業主にはどんな税があって、いつ納税するのかピンとこないかもしれません。
- 所得税……毎年1月1日~12月31日までの1年間に生じた「所得(儲け=売上-経費)※個人事業主の場合」に対して課せられる国税です。確定申告時に納付します(3月15日)。
- 住民税……市区町村に支払う税金(区民税、市民税など)と、都道府県に支払う税金(県民税、都民税など)を合わせた税金のこと。住民税は前年(1月1日~12月31日)の所得に対して課税されます。
- 消費税……課税売上高が1,000万円を超えた事業者が対象です。
接骨院での事業収入では健康保険での施術は消費税対象外です。自費施術の治療費や物品販売などで1,000万円以上の売上げがある場合に納付が必要です。納付時期は確定申告後の3月31日までです。 - 個人事業税……8月に都道府県税事務所から納付通知が届きます(8月と11月に分けて納付可)。事業所得が290万を超える部分に対して税率3%が課税されます。
確定申告で提出する書類
申告書類の様式はたくさんのものがありますが、個人事業主の場合は一般的に下記の様式となります。
- 白色申告……確定申告書・収支内訳書
- 青色申告……確定申告書・青色申告決算書
※所得金額が赤字などの場合、他の申告書も必要になります。
■確定申告書について
確定申告書は、所得の種類によって“AとB”の2種類を使い分けていましたが、2022年12月をもって「確定申告書A」は廃止となりました。2023年1月以降申告を行う(2022年分の確定申告)では、すべての人が同じ確定申告書の様式で確定申告を行います。
青色申告とは
個人事業主が確定申告する際に「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。「青色申告」は「白色申告」に比べて手順が多くなり、帳簿付けをより詳細に記入(複式簿記)しますが、「白色申告」よりも納める税金を少なくできるメリットがあります。
青色申告の3大メリット
- 利益から10万円または65万円の控除ができる
課税対象額が減ることになるので納税額の減額につながります。 - 赤字を次年度以降3年間繰越することができる
前年度まで赤字、翌年度が黒字となった場合に黒字部分に過去3年間の計上していない赤字をあてることができ、黒字年の課税対象額が抑えられます。つまり納税額の減額につながります。 - 家族に支払った給与を経費にできる
通常、個人事業の場合、同居の家族が事業に従事していると「生活費なのか給与なのか」区別がつきにくいので、同居の家族への労働の対価として適正な給料は認められません。ただし青色申告をすることにより、全額必要経費となります。 - その他
青色申告には特別償却や試験研究費などの控除等があります。
青色申告は事前申込が必要
青色申告を選択するには、事前に税務署へ「青色申告承認申請書」を提出が必要です。
提出時期
1月1日~1月15日までに開業した場合、その年の3月15日までが提出期限。
1月16日以降に開業した場合、開業日から2ヶ月以内が提出期限。
★青色申告承認申請書は、一度届け出したら毎年提出する必要はありません。
まとめ
確定申告は1年間の経費を申告するので大変な作業になりますので、日ごろからこまめに記帳することが大切です。
最近では接骨院の経営が軌道にのるまで1年といわれています。少しでも健全かつ計画的な経営資金のやりくりをするためにも「青色申告」を利用されることをオススメします。