療養費支給申請書(レセプト)の中で文章を記載する代表的なものの一つが負傷原因です。
レセプトへの負傷原因の記載を具体的にどう書いたらいいのか?
その負傷原因記載は、
『平成22年9月施術分から受領委任の取扱規定により3部位目を所定料金の100分70(現在は100分60)に相当する金額により算定することとなる場合は、全ての負傷名にかかる具体的な負傷の原因を記載すること』
となっています。
組合員の方は動画で解説しています。以下のページよりご覧いただけます。
負傷原因が詳細でなかったり、負傷部位から見て負傷原因が不自然であるものは疑義を持たれてしまいます。
例えば……
(例1)どのように負傷したかが不自然
左膝関節捻挫
×「公園で散歩をしていて足を踏ん張り捻り負傷」
○「公園で散歩をしていて石に躓き踏ん張った際に膝を捻り負傷」
頚椎捻挫
×「自宅にてドアにぶつかり負傷」
○「自宅にてドアにぶつかった際、反動で体が反り返り首を負傷」
必要かつ十分な記載をし、あいまいな表現にならないように注意してください。
(例2)疲労や筋肉痛を疑う内容
右膝関節捻挫
×「長時間歩いた時、急に痛くなり負傷」
腰椎捻挫
× 「マラソンの練習中に負傷」
この場合は、具体的な理由の記載もなく疲労を疑う内容のため、療養費の支給対象外の請求内容になります。
また、負傷原因に「電車で~」「仕事中~」の記載があれば通勤災害や労災と判断されます。
具体的な負傷原因とはどのようなもの?
(例)
左手関節捻挫
○「私用で自転車に乗って買い物に行く途中、縁石に乗り上げ転倒し手をついた際に負傷」
臀部打撲
○「自宅で階段を踏み外し尻餅をつき負傷」
左足関節捻挫
○「学校でサッカーの部活中、ボールを強くキックしたときに軸足に負荷が加わり負傷」
負傷原因記載のポイント
負傷原因は、保険者等での確認が容易になるように「どこで、どうして、どうなったか」など、負傷に至った状況が分かるような記載が必要です。
◆負傷原因があいまいなもの
→ 負傷名との関連が第三者から判断しづらいものは返戻に。
◆擬音語が多用されたもの
→ 捻った、打ちつけた、伸ばして痛めたなど文章表現が必要。
◆負傷原因が非常に簡単なもの
→ 単に捻った、打った、伸ばした、だけでは原因として不十分。
柔整教科書にある医療用語を使って現状の負傷を表現することは、返戻になり難い方法の一つです。
3部位請求でも負傷原因の記載が要らない例
3部位以上の請求にもかかわらず、負傷原因が不要な例が1つあります。
「100 分の 60 に相当する金額」とは何か?
100 分の 60 に相当する金額は3部位目の多部位逓減を意味します。 多部位逓減は3部位目に後療、冷罨法、温罨法、電療を 算定する場合にかかります。
初回処置料(施療料・整復料・固定料) には逓減はかかりません。
以下は3部位でも負傷原因が不要な事例です。
「負傷部位数」=3部位、「負傷日」=1月29日、 「初検日」=1月31日で1月の通院日が1回しかない場合です。
ちなみに冷罨法の算定は負傷日が初検日の前日もしくは 当日です。 この例では2日前の負傷日になりますので冷罨法の算定はできません。
また温罨法、電療は負傷日より6日目よりの算定となります。
結論
この例では3部位目の逓減をかける対象の後療、冷罨法、温罨法、電療の算定がありません。 よってレセプトに負傷原因の記載は不要となります。 こちらのケースは月末の最終日の初検の患者さんに起きやすいです。